お気に入り
カメ。
お気に入りのカメ。
つい最近自転車に乗っていたら
前から来た自転車のひとが
そば屋の出前のように手のひらにカメを乗せていたのでした。
カメはずいぶんと暴れていて
わたしはびっくりして思わずうわーっと言ってしまいました。
そんなカメを見るのがトマトなんですね。
非常に顔の似合う果物です。
隙あればしゃべろうとするので料理がなかなかむずかしい。
ということは置いておいて。
食材売り場に置いてあったふたり、
気があったのでしょうね、そう、カメではなくスッポン、
常々語っていたのです、一緒に逃げようと。
とびらのむこうにさえ行けば、
新しい世界が開けると。
そんなわけで自転車の男のてのひらで暴れるのは当然なのです。
扉はすぐ先。
結末はどうなったでしょうねぇ。
わたしはとびらのむこうに行ったと思いますよ、トマトと一緒にね。