よるのとびらをひらく方法

兄(Dancer) + 妹(Designer) のブログです。

後ろの窓

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『東京百景』という本を会社の同僚に借りました。
あまりに素晴らしくて又吉天才か?!って思いました。
そう、お笑い芸人ピースの又吉の本です。
又吉は太宰治のファンとして知られています。
つまりこれは太宰治へのオマージュ作品。
苦しさは在っても、めったに言わない。以前にまさる苦しさは在っても私は微笑を装っている。
太宰の『東京八景』は(苦難の或人に贈る)とあるのですが、
この精神、太宰の背骨、これがもうくっきりと『東京百景』に
反映されていることに感動しました。
肥大化した自意識、有り余る苦悩、
どうしようもないこの感じ、よくここまでってほど。
人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも死ぬほど苦しんだ事があります、と言い切れる自覚ではないか。
苦しくてそれでいて笑える、すばらしいです。
と、結構おおげさに感動したので、買ってしまいました。
東京百景 (ヨシモトブックス)

東京百景 (ヨシモトブックス)

 

東京八景。私は、その短篇を、いつかゆっくり、骨折って書いてみたいと思っていた。十年間の私の東京生活を、その時々の風景に託して書いてみたいと思っていた。私は、ことし三十二歳である。日本の倫理に於ても、この年齢は、既に中年の域にはいりかけたことを意味している。また私が、自分の肉体、情熱に尋ねてみても、悲しいそれを否定できない。覚えて置くがよい。おまえは、もう青春を失ったのだ。もっともらしい顔の三十男である。東京八景。私はそれを、青春へのの辞として、誰にも媚びずに書きたかった。

 

富嶽百景

富嶽百景